マツの枝や幹へ、灰褐色の大きな毛虫が張り付いていたら、マツカレハの幼虫かもしれません。
『マツカレハ』は、幼虫がアカマツやクロマツなどの葉を食べるカレハガ科の蛾です。
幼虫は「マツケムシ」とも呼ばれ、成長すると体長70mmほどに達します。
見た目が大きいだけではありません。
胸部背面には藍黒色の毛束があり、その中に鋭い毒針毛を持っています。
毒針毛へ触れると強い痛みが出て、数日後にはかゆみへ変わり、症状が1週間以上続く場合もあります。
さらに注意したいのが繭です。
幼虫がいなくなった後の繭にも毒針毛が付着しているため、枝に残った古い繭を素手で取り除くと皮膚炎を起こす可能性があります。
マツカレハの幼虫は、灰色や褐色の体が樹皮へ紛れやすく、剪定や庭木の手入れ中に気づかず触れてしまう場面もあります🌲🐛
今回は、マツカレハの幼虫・成虫・繭の特徴、毒針毛による症状、発生時期、マツの葉を食べる理由、カレハガやオビカレハとの違いまで詳しく解説します。
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マツカレハの基本情報
マツカレハは、チョウ目カレハガ科に属する比較的大型の蛾です。
名前に「マツ」と付く通り、幼虫は主にマツ類の葉を食べます。
幼虫はマツケムシと呼ばれる
マツカレハの幼虫は、古くから「マツケムシ」と呼ばれています。
アカマツやクロマツなどへ発生し、細長いマツ葉を食べながら成長します。
名古屋市衛生研究所では、幼虫は約70mmに達し、アカマツ、クロマツなどのマツ類やヒマラヤスギの葉を食べると解説しています。
※参考:名古屋市「カレハガ類」
家庭の庭木だけではなく、防風林、公園、寺社、学校、ゴルフ場、海岸林などのマツでも見つかる可能性があります。
| 確認項目 | マツカレハの特徴 |
|---|---|
| 分類 | チョウ目カレハガ科 |
| 別名 | マツケムシ |
| 幼虫の大きさ | 成長すると約70mm |
| 幼虫の色 | 灰褐色、茶褐色、暗褐色など |
| 毒針毛 | 胸部背面の藍黒色の毛束に集中する |
| 主な食樹 | アカマツ、クロマツなどのマツ類、ヒマラヤスギなど |
| 越冬状態 | 幼虫 |
| 主な被害 | マツ葉の食害、毒針毛による痛みや皮膚炎 |
成虫は翅を広げると90mmほどになる個体もいる
マツカレハは、成虫も比較的大型です。
大きな個体では、翅を広げた幅が約90mmに達します。
全体は茶色や灰褐色で、前翅には白色や黒色の模様が見られます。
色彩の個体差が大きく、明るい茶色から暗褐色まで幅があります。
幼虫のような長い毛虫の姿ではないため、同じ昆虫だと分かりにくいかもしれません。
成虫には幼虫のような毒針毛はない
カレハガ科では、人体へ問題となる毒針毛を持つのは主に幼虫です。
名古屋市も、カレハガ科の成虫には毒針毛がないと解説しています。
ただし、茶色い大型の蛾だけを見てマツカレハと正確に判断するのは簡単ではありません。
正体が分からない蛾を積極的に手で捕まえる必要はないでしょう。
マツカレハ幼虫の見た目
マツカレハ幼虫は、全身へ長い毛を持つ大型の毛虫です。
体色がマツの幹や枯れた枝へ溶け込みやすいため、大きくても見落とす場合があります。
灰褐色の体に長い毛が密生する
幼虫の体は灰色、灰褐色、暗褐色などを基調としています。
全身へ長い毛が生え、体の輪郭がぼやけて見える姿です。
黒色、茶色、白色などの毛が混ざり、個体によって印象も変わります。
マツの太い幹へ体を密着させていると、樹皮の模様や枯れた松葉へ紛れる場合があります。
胸部の藍黒色の毛束が大きな特徴
マツカレハ幼虫で特に注意したい部分が、胸部背面にある藍黒色の毛束です。
普段は周囲の長い毛に隠れている場合があります。
幼虫が体を曲げると、背中へ黒い帯が現れたように見えます。
この部分に、先端の鋭い毒針毛が集中しています。
毒針毛を確認するために触らない
写真や図鑑で見ると、黒い毛束を確かめたくなるかもしれません。
しかし、指や棒で毛を分ける行為は危険です。
胸部へ触れれば、毒針毛が皮膚へ刺さる可能性があります。
見分ける際は、虫の写真、発生している樹木、全体の体形などを利用してください。
マツカレハの毒針毛
マツカレハは、カレハガ類の中でも人体へ皮膚被害を与える種類です。
長い毛がすべて同じ性質を持つわけではなく、胸部へある毒針毛が特に問題になります。
毒針毛へ触れると激しい痛みが出る
毒針毛が皮膚へ刺さると、接触した場所へ強い痛みを感じる場合があります。
チクチクする程度ではなく、針をまとめて刺されたような刺激を感じる人もいます。
日本皮膚科学会では、有毒毛を持つ毛虫の一つとしてマツカレハなどのカレハガ類を挙げています。
※参考:日本皮膚科学会「Q11 ケムシに触れるとどうなりますか?」
数日後にかゆみへ変わる場合がある
マツカレハによる皮膚反応は、接触直後の痛みだけで終わらない場合があります。
名古屋市によると、毒針毛へ触れると激しい痛みが生じ、数日後にはかゆみへ変わり、1週間以上続く場合もあります。
皮膚反応の程度には個人差があります。
赤みや腫れが広がる、強いかゆみが続く場合は、自己判断だけで済ませず医療機関へ相談してください。
発熱を伴う場合もある
カレハガ類の毒針毛へ接触した際、皮膚症状だけではなく、体調変化が出る人もいます。
名古屋市では、カレハガ類の毒針毛による被害で、激しい痛みや後のかゆみに加え、発熱する場合もあるとしています。
強い倦怠感、発熱、広い範囲の皮膚症状がある場合は医療機関へ相談しましょう。
| 接触後の状態 | 現れる可能性がある反応 |
|---|---|
| 接触直後 | 鋭い痛み、チクチク感、赤み |
| 数時間後 | 腫れ、赤い発疹、熱感 |
| 数日後 | 強いかゆみへ変化する場合がある |
| 1週間以降 | かゆみが残る人もいる |
| 反応が強い場合 | 広い腫れや発熱などが現れる可能性がある |
繭にも毒針毛が残る
マツカレハで見落としやすい危険物が、枝やマツ葉へ作られる繭です。
幼虫がいなくなった後でも注意が必要です。
幼虫は6月頃に繭を作る
越冬した幼虫は春に再び活動し、マツ葉を食べながら成長します。
十分に成長すると、6月頃を目安に細い枝や葉へ繭を作ります。
繭の内部で蛹となり、その後に成虫へ変わります。
繭には幼虫由来の毒針毛が付着する
繭を作る際、幼虫の体にあった毒針毛が表面や内部へ残ります。
そのため、中身のない古い繭でも、素手でつかんだり剥がしたりするのは避けてください。
剪定したマツ枝へ毛の付いた繭があった場合も、直接触らない方が安心です。
冬のマツ手入れでも古い繭に注意する
繭は羽化後もしばらく枝へ残る場合があります。
冬季の剪定、枯れ枝の除去、落ち葉清掃などで古い繭へ触れる可能性があります。
「今は毛虫が出る季節ではない」と考え、素手で古い繭を取り除かないようにしてください。
マツカレハが食べる樹木
マツカレハ幼虫は、名前の通りマツ類を中心に食べます。
マツ林だけでなく、住宅の庭、公園、学校、寺社などへ植えられたマツでも見つかります。
アカマツ
アカマツは、マツカレハ幼虫の代表的な食樹です。
山林だけではなく、庭園や寺社の植栽として利用される場合もあります。
葉が部分的に減っている、枝へ灰褐色の毛虫がいる場合は、マツカレハを確認します。
クロマツ
クロマツも代表的な食樹です。
海岸の防風林や防砂林、公園、庭園へ広く植えられています。
マツカレハが多数発生すると、針葉を大量に食べられる場合があります。
ヒマラヤスギ
マツカレハ幼虫は、ヒマラヤスギへ発生する場合もあります。
名前に「スギ」と付きますが、ヒマラヤスギはマツ科の樹木です。
公園や学校、大きな庭園などへ植えられているため、マツ類以外に見える木でも注意が必要です。
マツ科の別種へ付く場合もある
地域や周辺の植生によって、マツ科の別の樹木へ食害が出る場合があります。
大型の灰褐色毛虫を見つけた際は、虫の姿だけでなく、食べている樹木も確認してください。
| 主な樹木 | 発生を確認したい場所 |
|---|---|
| アカマツ | 葉、枝、幹、枝分かれ部分 |
| クロマツ | 葉、太い枝、幹、海岸林の植栽 |
| ヒマラヤスギ | 葉、枝、幹 |
| その他のマツ科植物 | 葉の食痕と大型毛虫の有無を確認する |
マツカレハによるマツの食害

マツカレハは人へ皮膚被害を与えるだけでなく、マツそのものへ食害を与えます。
幼虫の数が多いほど、葉の減少が目立ちます。
針のようなマツ葉を食べる
マツカレハ幼虫は、マツの細長い葉をかじって食べます。
若い幼虫では食べる量が少なくても、大きく成長すると一匹あたりの摂食量も増えます。
枝先の葉が短くなる、葉が部分的になくなるなどの変化が見られます。
大量発生すると枝の葉が減る
多数の幼虫が一本の木へ集まると、広い範囲のマツ葉が失われます。
樹冠の一部が薄く見える、緑色だった枝が急に目立つなどの変化が現れる場合があります。
若木や弱ったマツでは負担が大きくなる
健康な大木と、植えたばかりの若木では食害への耐性が異なります。
若いマツ、病害や乾燥で弱ったマツ、前年にも大きな食害を受けたマツでは負担が大きくなる可能性があります。
マツが弱っていてもマツカレハだけが原因とは限らない
マツには、マツ材線虫病、カイガラムシ類、ハダニ類、乾燥障害など、さまざまな問題が起こります。
葉が茶色くなっているからといって、マツカレハだけが原因とは断定できません。
幼虫や食痕を確認できない場合は、樹木の状態を含めて専門家へ確認する方法があります。
マツカレハの一年の流れ
マツカレハの姿は季節によって変わります。
幼虫で冬を越す点は、卵で越冬する毛虫との大きな違いです。
秋までに成長した幼虫が越冬場所へ移る
夏から秋に育った幼虫は、寒くなると活動を弱めます。
マツの根元、樹皮のくぼみ、落ち葉の下など、風雨を避けられる場所へ移動して冬を越します。
地域の気温や樹木の状態によって、越冬場所には違いがあります。
春になるとマツへ戻って葉を食べる
気温が上がると、越冬していた幼虫は活動を再開します。
幹を上り、マツ葉を食べながら成長します。
春の庭木管理で大きな毛虫を見つける場合は、越冬を終えた幼虫かもしれません。
6月頃に老熟して繭を作る
幼虫はさらに成長し、約70mmほどになると蛹になる準備へ入ります。
細枝や葉などへ繭を作り、その中で蛹になります。
この繭にも毒針毛が付着しています。
夏に成虫が現れる
蛹から羽化すると、大型の茶褐色の蛾になります。
成虫は交尾と産卵を行い、次の世代へつながります。
ふ化した幼虫はマツ葉を食べて成長する
卵から出た幼虫はマツの葉を食べます。
秋まで成長した後、寒くなると活動を弱め、再び幼虫の状態で冬を越します。
| 時期の目安 | マツカレハの状態 |
|---|---|
| 冬 | 幼虫の状態で越冬する |
| 春 | 活動を再開し、マツ葉を食べて成長する |
| 6月頃 | 老熟幼虫が細枝や葉へ繭を作る |
| 夏 | 成虫が羽化して交尾・産卵する |
| 夏から秋 | 次世代の幼虫がマツ葉を食べて成長する |
| 晩秋 | 越冬場所へ移る |
マツカレハとカレハガの違い
マツカレハとカレハガは、どちらもカレハガ科へ属し、大型の幼虫が毒針毛を持ちます。
特に分かりやすい違いは、幼虫が食べる樹木です。
マツカレハはマツ類を食べる
マツカレハは、アカマツ、クロマツ、ヒマラヤスギなどを食べます。
マツへ大型の灰褐色毛虫が付いている場合、マツカレハが有力な候補です。
カレハガはサクラやウメを食べる
カレハガ幼虫は、サクラ、ウメ、ナシ、モモなどへ発生します。
成長すると約90mmになり、マツカレハよりさらに大型になる場合があります。
どちらも胸部背面の毛束に注意する
マツカレハとカレハガでは、胸部背面へ藍黒色の毛束があります。
ただし、毒針毛の形には違いがあり、マツカレハは先端が尖った毛、カレハガでは扁平なヘラ型の刺毛が確認されています。
一般家庭で毛の形まで確認する必要はありません。
どちらも直接触れない対応が基本です。
| 比較項目 | マツカレハ | カレハガ |
|---|---|---|
| 幼虫の大きさ | 最大約70mm | 最大約90mm |
| 主な食樹 | アカマツ、クロマツ、ヒマラヤスギ | サクラ、ウメ、ナシ、モモ |
| 体色 | 灰褐色、暗褐色 | 灰色、灰褐色 |
| 胸部の毛束 | 藍黒色 | 藍黒色 |
| 幼虫の毒針毛 | ある | ある |
| 繭 | 毒針毛へ注意 | 毒針毛へ注意 |
マツカレハとオビカレハの違い
同じカレハガ科でも、すべての幼虫が毒針毛を持つわけではありません。
オビカレハは、見た目が毛深くても毒針毛を持たない種類です。
オビカレハはテント状の巣を作る
オビカレハの若い幼虫は、枝の分岐部へ糸を張り、白いテントのような巣を作ります。
多数の幼虫が巣の中へ集まる姿から、テンマクケムシとも呼ばれます。
オビカレハはサクラやウメを食べる
オビカレハは、ウメ、サクラ、モモ、バラ、ヤナギなどを食害します。
マツを中心に食べるマツカレハとは、発生する樹木が異なります。
オビカレハには毒針毛がない
オビカレハは毛深い幼虫ですが、毒針毛は持ちません。
一方、マツカレハには毒針毛があり、直接触れると強い痛みや後のかゆみが出る可能性があります。
毛虫の見た目だけで毒の有無を判断しないようにしてください。
マツカレハとマイマイガの違い
マイマイガも大型の毛虫で、マツへ付く場合があります。
幼虫の背中を見ると、比較しやすくなります。
マイマイガは背中に青と赤の突起が並ぶ
成長したマイマイガ幼虫は、背中の前方へ青い突起、その後ろへ赤い突起が2列に並びます。
マツカレハには、この青と赤の特徴的な配列はありません。
マツカレハは胸部の藍黒色の毛束が目立つ
マツカレハは、胸部背面の藍黒色の毛束が見分ける手がかりです。
灰褐色の全身と長い毛も特徴になります。
毒毛の性質も異なる
マツカレハには、皮膚へ強い痛みを生じさせる毒針毛があります。
マイマイガでは成長段階によって人体への影響が異なるため、両者を同じ毒毛虫として扱うのは適切ではありません。
正確な種類が分からない場合は、どちらであっても素手では触れない方が安心です。
マツカレハとマツ材線虫病の違い
マツの葉が減る、茶色くなるといった変化を見て、すべてマツカレハの被害だと思うのは早計です。
マツには別の重大な被害もあります。
マツカレハは葉を直接食べる
マツカレハ幼虫は、マツ葉をかじって食べます。
そのため、幼虫そのもの、食べられた葉、フンなどを確認できる場合があります。
マツ材線虫病では樹冠全体が変色する場合がある
いわゆる松くい虫被害として知られるマツ材線虫病では、マツが急速に弱り、葉が黄色から赤褐色へ変わる場合があります。
毛虫による単純な食害とは症状の出方が異なります。
原因が分からない枯れは専門家へ確認する
大きな毛虫が見当たらず、マツ全体が急激に変色している場合は、別の原因も疑います。
庭木なら造園業者、公共のマツなら管理者へ相談してください。
家の周辺で見つかりやすい場所
マツカレハは森林だけの虫ではありません。
マツが植えられている住宅地でも見つかる可能性があります。
庭のマツ
日本庭園風の庭では、クロマツやアカマツを植える家庭があります。
剪定、芽摘み、もみあげなど、マツへ直接触れる管理作業も多いため、毛虫との接触へ注意が必要です。
寺社や日本庭園
寺院、神社、日本庭園では、大きなマツが長期間管理されています。
低い枝にマツカレハ幼虫がいると、参拝者や庭園利用者の手や衣類へ触れる可能性があります。
公園や学校
公園や学校の敷地にもマツ類が植えられています。
子どもが木へ触る、落ち枝を拾う、木陰へ座るなどの場面では注意してください。
海岸のクロマツ林
海岸には、防風や飛砂防止を目的としてクロマツ林が整備されている地域があります。
散歩、キャンプ、海水浴場周辺の利用時に、樹木や落ち枝へ毛虫がいないか確認したいところです。
ゴルフ場や緑地
景観樹としてマツが植えられているゴルフ場、霊園、緑地でも発生する場合があります。
大量発生している場合は、個人で処理せず施設管理者へ伝えてください。
マツカレハの発生を疑うサイン
大型幼虫を直接見つける前に、マツ葉の状態や繭から発生へ気づく場合があります。
マツ葉が不自然に減っている
一部の枝だけ葉が少ない、葉の先端が食べられている場合は、食害性の昆虫を疑います。
枝や幹へ大型毛虫がいないか、少し離れた位置から確認してください。
幹へ灰褐色の毛虫が張り付いている
マツカレハ幼虫は、枝だけではなく幹で見つかる場合があります。
灰褐色の体が樹皮へ溶け込むため、遠くから見ると木の一部に見えます。
マツの下へフンが落ちている
幼虫が葉を大量に食べると、樹木の下へ粒状のフンが落ちます。
葉の食害とフンが同時に見つかる場合は、木の上へ幼虫がいる可能性があります。
枝へ毛の付いた繭がある
初夏頃に細枝や葉へ毛の付いた繭が見つかった場合、マツカレハ類が候補になります。
繭には毒針毛が残る可能性があるため、正体を確認する目的で指へ乗せないでください。
マツカレハを見つけた時に避けたい行動
マツカレハ幼虫は、人を追いかけて刺す虫ではありません。
接触しなければ被害を避けやすいため、慌ててつかんだり叩いたりしないでください。
素手で幼虫を取らない
大型で動きが遅くても、素手でつかむのは危険です。
胸部の毒針毛が刺されば強い痛みが出ます。
軍手だけを過信しない
布製の軍手には繊維のすき間があります。
毒針毛や細かな毛が入り込む可能性があるため、「軍手をしているからつかめる」とは考えない方が安心です。
枝を勢いよく振らない
幼虫を落とそうとして枝を強く揺らすと、自分や周囲の人へ毛虫が落下する可能性があります。
頭上にある枝では特に危険です。
繭を素手で剥がさない
幼虫がいなくても、繭へ毒針毛が付着しています。
乾いて古く見える繭も、直接触れないでください。
幼虫を踏み潰さない
地面へ落ちた幼虫を靴で踏むと、毛が靴底や周囲へ付着する可能性があります。
子どもやペットが後から触れる場所では特に注意が必要です。
高い枝へ無理に手を伸ばさない
脚立やはしご上で毒毛虫へ触れ、痛みに驚いて転落する危険があります。
高所へ発生している場合は専門業者へ相談してください。
毒針毛へ触れた時の対応
マツカレハ幼虫へ触れた疑いがある場合は、患部を強くこすらないようにします。
皮膚表面へ残った毛を押し込まない対応が重要です。
患部を手でこすらない
痛みを感じると反射的に手で払いたくなります。
しかし、こすると残った毒針毛を周囲へ広げたり、皮膚へ深く押し込んだりする可能性があります。
粘着テープで毛を取り除く
日本皮膚科学会では、有毒毛虫へ触れた場合、皮膚へ付いた毒針毛を粘着テープで除く方法を案内しています。
※参考:日本皮膚科学会「Q14 ケムシの対策はどうすればよいですか?」
テープは軽く当て、ゆっくり剥がしてください。
同じ粘着面を何度も患部へ押し付けるのは避けます。
石けんとシャワーで洗い流す
目立つ毛を除いた後は、石けんをよく泡立てて皮膚へ乗せ、シャワーで洗い流します。
スポンジやタオルで強くこすらないようにしてください。
痛みや熱感があれば冷やす
赤みや熱感がある場合は、清潔な冷たいタオルや、布で包んだ保冷剤を短時間ずつ当てます。
保冷剤を直接皮膚へ長時間当てるのは避けてください。
強い症状は皮膚科へ相談する
強い痛みやかゆみが続く、腫れが広がる、発熱がある場合は皮膚科へ相談してください。
目へ毛が入った疑いがあり、痛み、充血、異物感などがある場合は眼科への相談も検討します。
| 対応 | 注意点 |
|---|---|
| こすらない | 毒針毛を皮膚へ押し込まない |
| 粘着テープ | 軽く当てて残った毛を除く |
| 石けん・シャワー | 強くこすらず洗い流す |
| 冷却 | 布越しに短時間ずつ冷やす |
| 医療機関 | 症状が強い、広がる場合に相談する |
医療機関へ相談したい症状
毒針毛への反応には個人差があります。
小さな赤みだけで治まる人もいれば、強い痛みや長期間のかゆみが出る人もいます。
強い痛みが続く
洗浄や冷却後も痛みが弱まらない場合は、医療機関へ相談してください。
広い範囲へ接触した場合も受診を検討します。
赤みや腫れが広がる
接触部だけではなく、手や腕の広い範囲へ赤みや腫れが広がっている場合は皮膚科へ相談します。
数日後から強いかゆみが出た
接触直後の痛みが落ち着いても、その後にかゆみが強くなる場合があります。
掻き壊して傷を作る前に受診を検討してください。
発熱や強い倦怠感がある
皮膚症状だけではなく、発熱や体調不良がある場合も医療機関へ相談してください。
目へ毛が入った可能性がある
目の痛み、充血、涙、強い異物感がある場合は、目をこすらず眼科へ相談します。
息苦しさや全身症状がある
息苦しさ、喉の違和感、全身のじんましん、めまい、意識の異常などが現れた場合は、速やかな受診や救急要請を検討してください。
専門業者や管理者へ相談したい状態
低い枝へ幼虫が1匹いる程度なら、近づかずに状況を確認できる場合があります。
大量発生や高所では、自力対応による危険が大きくなります。
マツ全体へ多数の幼虫がいる
一本のマツへ何匹も大型幼虫がいる場合は、葉の食害も進んでいる可能性があります。
幼虫を一匹ずつ手で取るのではなく、発生範囲を確認してください。
高い枝へ発生している
脚立やはしごを使用する高さでは、害虫への接触と転落の両方が危険です。
造園業者や害虫対応業者へ相談する方が安心です。
マツが大きく弱っている
葉が大きく失われている、樹冠全体が変色している場合は、毛虫以外の原因も含めた確認が必要です。
樹木管理へ詳しい業者へ相談してください。
公園や街路樹へ発生している
公園、学校、街路樹、公共施設のマツは、自治体や施設管理者が管理しています。
個人で薬剤を使ったり枝を切ったりせず、発生場所を管理者へ伝えます。
集合住宅の植栽へ発生している
マンションや団地の共用部へ植えられたマツなら、管理会社や管理組合へ相談してください。
住人が個別に薬剤を散布すると、周囲の人やペットへ影響する可能性があります。
繭が多数残っている
毛虫がいなくても、枝へ繭が多数残っている場合は注意が必要です。
繭には毒針毛が付着しているため、高い場所や大量の繭を無理に素手で取り除かないでください。
よくある質問

マツカレハは、幼虫の大きさや毒針毛、繭にも注意が必要な点から、庭木で見つけると不安になりやすい害虫です。
Q1. マツカレハとマツケムシは同じ虫ですか?
A. 一般にマツカレハの幼虫を「マツケムシ」と呼びます。
アカマツやクロマツなどの葉を食べる大型の毛虫です。
Q2. マツカレハの幼虫はどのくらい大きくなりますか?
A. 成長すると体長約70mmに達します。
灰褐色の体へ長い毛が密生し、マツの幹や枝へ紛れている場合があります。
Q3. マツカレハには毒がありますか?
A. 幼虫の胸部背面に毒針毛があります。
藍黒色の毛束へ触れると強い痛みが生じ、その後にかゆみが続く場合があります。
Q4. マツカレハの繭は触っても大丈夫ですか?
A. 素手で触れないでください。
繭へ幼虫由来の毒針毛が付着しており、触れると皮膚炎が起きる可能性があります。
Q5. マツカレハの成虫にも毒がありますか?
A. カレハガ科の成虫には、幼虫のような毒針毛はないとされています。
ただし、正体の分からない蛾を素手で捕まえる必要はありません。
Q6. マツカレハは何の木に付きますか?
A. 主にアカマツ、クロマツなどのマツ類へ発生します。
ヒマラヤスギなどの葉を食べる場合もあります。
Q7. マツカレハはいつ発生しますか?
A. 幼虫の状態で冬を越し、春に活動を再開します。
6月頃に老熟幼虫が繭を作り、その後に成虫が現れる流れが目安です。
Q8. マツカレハとカレハガはどう見分けますか?
A. 幼虫が食べている樹木が分かりやすい判断材料です。
マツカレハはアカマツやクロマツなど、カレハガはサクラ、ウメ、ナシ、モモなどへ発生します。
Q9. マツカレハとマイマイガの違いは何ですか?
A. マイマイガの成長した幼虫には、背中へ青色と赤色の突起が2列に並びます。
マツカレハは灰褐色で、胸部背面へ藍黒色の毒針毛の束があります。
Q10. マツカレハへ触れたらどうしますか?
A. 患部をこすらず、粘着テープで皮膚表面へ残った毛を除きます。
その後、石けんをよく泡立て、シャワーでやさしく洗い流してください。
Q11. マツカレハに触れたら何科へ行きますか?
A. 痛み、赤み、腫れ、かゆみなどの皮膚症状は皮膚科が主な相談先です。
目へ毛が入った疑いがあれば眼科、息苦しさなどの全身症状があれば速やかな受診を検討してください。
Q12. マツの葉が茶色い場合はマツカレハが原因ですか?
A. 必ずしもマツカレハとは限りません。
毛虫による食害だけでなく、病気、別の害虫、乾燥など複数の原因があります。幼虫や食痕が確認できない場合は、樹木の専門家へ相談してください。
まとめ
マツカレハは、アカマツやクロマツなどの葉を食べるカレハガ科の蛾です。
幼虫は「マツケムシ」と呼ばれ、成長すると約70mmに達する大型の毛虫になります。
全身は灰褐色や暗褐色で、長い毛に覆われています。
特に注意したいのが、胸部背面にある藍黒色の毛束です。
この部分には先端の鋭い毒針毛があり、触れると激しい痛みが出る場合があります。
接触後しばらくしてからかゆみへ変わり、症状が1週間以上続く人もいます。
幼虫だけではなく、細枝や葉へ作られた繭にも毒針毛が付着しています。
中身が空になった古い繭でも、素手で剥がさないようにしてください。
マツカレハは幼虫の状態で冬を越し、春に活動を再開します。
マツ葉を食べながら大きくなり、6月頃には老熟して繭を作ります。
カレハガとの大きな違いは食樹で、マツカレハは主にマツ類、カレハガはサクラやウメ、ナシ、モモなどへ発生します。
マツの幹や枝へ灰褐色の大型毛虫を見つけても、素手で触ったり、枝を強く揺らしたりしないでください。
毒針毛へ触れた疑いがある時は、患部をこすらず、粘着テープで残った毛を取り除き、石けんとシャワーで洗い流します。
強い痛み、腫れ、かゆみ、発熱などがある場合は医療機関へ相談してください。
多数の幼虫が発生している、高い枝へいる、繭が大量に残っている、マツ自体が大きく弱っている場合は、無理に自力で処理せず、管理者や専門業者へ相談しましょう🌲🐛
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